女性の内視鏡医を応援、女性に多い大腸がんに歯止めをかけたい
医療機器にひと工夫して早期発見・早期治療の実現へ

大腸検査の内視鏡スコープハンドルにひと工夫

持ちやすさを考え、操作の負担を軽減するハンドルキャップの開発に挑戦します!

目標金額
1,000,000円
寄付の募集
2019年11月1日~

女性のがんで1番多い大腸がん。おしりから入れる内視鏡に抵抗があるためか、早期発見のための検査の重要性が浸透していないことも原因の1つと考えられています。

最近では、乳がんと同じように大腸がんの早期発見についての啓発が進み、大腸がん検診を受けようという人は増えてはきているようですが、大腸の内視鏡検査は、女性にとってはとてもデリケートな施術。検便中の潜血により「要精密検査」と言われると、「できれば女性医師にお願いしたい」という女性は少なくありません。しかしながら、最寄りの病院に限って女性医師が不在であるということが、検査を受ける心のハードルになっていると言われます。

下の写真は、ある女性の患者さんが定期検診で行なった検便で「要精密検査」という結果を受け、大腸の内視鏡検査をしたときの様子です。ポリープが見つかり、無事切除。少し大きめに育ってキノコのような姿になってはいましたが、幸い、がん化はしていませんでした。「要精密検査」と言われたら、すぐに検査をして取り除ける要因は取り除くことが大事だと身を以て感じたそうです。

大腸で発見されたポリープ

ポリープの茎を焼いて切除する様子

複数のクリップで切除した傷口を防ぎます。このクリップは10日もするとお通じとともに自然に排泄されます。切除したポリープは病理検査に送られます。

 

この患者さんは「要精密検査」という結果を知らされるやいなや、精密検査をしてくれる女性医師がいる病院を探し、岡山市立市民病院に来られました。すぐに診てくれる病院が見つかればいいのですが、全国を見渡すと、必ずしも女性医師に検査をしてもらいやすい環境が整っているわけではありません。

解決すべき課題として、注目される「女性の内視鏡専門医の不在」

大腸にがんが見つかり、切除などの治療が必要になると、男女関係なく腕のいいドクターを頼るのですが、精密検査の段階では、女性は女性医師を希望することが多いのが現状です。

ところが、国内の内視鏡専門医は約18,520人(平成30年)で、女性医師はそのうちの2割にも及びません(*)。

 

何故でしょうか・・・。

 

「女性の内視鏡専門医の不在」という課題解決に取り組む岡山市立市民病院消化器内科 喜多 雅英先生にお話をうかがったところ、女性医師のライフステージが大きく関係していることがわかってきました。

内視鏡は、胃や大腸、食道など消化器系のがんの発見や検査で使われる医療機器として、一般にも知られるようになりました。研修医の中にも、内視鏡のさらなる可能性に関心を示す人は年々増えています。

医学生は、大学医学部で学んだ後に医師の資格を得るために国家試験を受けます。その後、研修医として様々な診療科を周ります。初期研修と言われる最初の2年間で内視鏡に触れる機会があるのはほんの数ヶ月。内視鏡専門医になるには、後の3年間の後期研修で内科を選び、その中で、ようやく内視鏡の手技を専門的に訓練する段階に入るのです。

年齢的には30歳を迎えるころです。実は、女性医師の場合、出産などのライフイベントと重なり、しっかりと習得する前に、職場を離れなければいけないケースが結構多くあるらしいのです。

内視鏡は内科の中の「消化器内科」の領域です。現状では、まだまだ内視鏡専門医を目指そうという女性研修医が少ないことも相まって、前例が少なくキャリア形成が難しい領域にあります。

もちろん、熟練していれば復職のタイミングで内視鏡の操作の訓練をすれば勘は取り戻せます。しかしながら、内視鏡を操作するために巧みに手首と指を使うスコープハンドルの扱いには、握力が必要です。そこが復職に踏み切れない、あるいはキャリア形成のネックになってしまうことがあるのです。

復職したてで久しぶりに触れる女性医師にとっては、感覚通りに操作が進まないなど、「体力的に克服できなかったら続けられない」という気持ちの上でのジレンマが生まれると、内視鏡専門医を目指すこと自体に疑問を抱く場合もあります。

喜多医師の調べでは、産休や育休からの復帰率を見ると、低い傾向が感じられるとのことで、その原因をたどっていくうちに、内視鏡を操作するスコープハンドルに、扱いやすさを高める「プラスα」を実装してはどうだろうか、という発想が生まれたのです。

内視鏡にひと工夫、操作の負担を軽減するハンドルキャップを開発

「女性の大腸がん検査を促すためにも、内視鏡専門医を志す女性医師を増やすことは大事」。そう話す喜多医師が考えたのが、感触の柔らかいハンドルキャップで、内視鏡を操作するスコープハンドルに取り付ける器具です。

製品化しても安定して売れるほど、利用する女性医師の数は多くないため、開発コストを回収できないなどの理由で企業の協力がなかなか得られずじまいです。あくまでも概算にすぎませんが、現在、国内の女性の内視鏡専門医は2,800人程度です。内視鏡専門医を目指す女性医師や研修医には、ライフステージが変わって休暇を取ることがあっても、「医療現場はあなたを待っている。必ず帰ってきて」という思いを込めて形にしたい、というのが、喜多医師が開発を決めた理由です。

ハンドルキャップを形にすることで「女性医師のキャリア形成」と「女性の大腸がん検診の受診促進のための啓発」につなげようと、このプロジェクトは生まれました。

皆さまからのご支援を、よろしくお願いいたします。

参照*:
日本専門医制度概報【平成30年(2018年)度版】
指導施設における女性内視鏡医のキャリアサポート体制に関するアンケート調査結果

ご支援の使い道

このプロジェクトでは、大腸検査の際に使う内視鏡スコープの操作の負担を軽減するためのハンドルキャップの開発に取り組みます。

今回は100万円の寄付を募らせていただき、集まった資金を、試作第1号の開発と金型や素材などの材料費と現場の女性医師からフィードバックを得るための経費に当てさせていただく予定です。試作第1号の評価を得る過程で、完成品への開発に進めるにあたって必要な要件などを固めて行く予定です。

当ホームページ上で寄付を募るほか、募金活動、クラウドファンディングなどさまざまな方法で達成できるよう努めてまいります。

集まった金額でできることから開始し、1日も早い完成を目指します。進捗につきましては、ご支援くださる皆さまにご報告してまいります。皆さまからのご支援を、心よりお願い申し上げます。

ご支援のお願い

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