子宮がんや乳がん治療の副作用から患者を救う
リンパ浮腫の手術を支える医療デバイス開発
世界一微細な手術針を掴むピンセットを開発
スーパーマイクロサージャリーの領域に次世代の形成外科医を育て、一人でも多くの患者が治療を受けられる世界を目指します。
- ご支援受付中
- 募集開始
- 2019年6月1日
【更新情報】光嶋勲の活動報告
(学会編:2019年1月〜6月)・2019年の参加学会・2020年の参加学会
報告:
2019年11月28日日本マイクロサージャリー学会講演
手や足がひどくむくんでしまう「リンパ浮腫」をご存知でしょうか。
がん治療の副作用のひとつで、リンパ節の切除や放射線照射により、リンパの流れが悪くなり、手や足がひどくむくんでしまう症状です。患者数は、世界で2億5千万人、国内では2009年の時点で10万〜15万人いるとされ、その約8割が乳がんや子宮がんの患者とされています。
体内には、心臓から酸素と栄養分が含まれる血液を流す「動脈」と使い終わった血液を心臓に戻す「静脈」のほかに、たまった老廃物を静脈に運搬するリンパ液が流れる「リンパ管」があります。リンパ浮腫とはその流れが停滞し、腕や脚がむくんでしまう病気です。
手がむくんでペンをうまく握れず字が書きにくくなったり、足がむくんで歩きにくくなったりするだけではなく、外見にも影響してしまうことから、引きこもりや鬱になってしまう患者さんもいます。がんの治療を終えて、すぐに発症することもあれば、数年経ってから発症することがあるのも、リンパ浮腫の特徴です。
がん患者がリンパ浮腫を発症しやすいのは、手術で「リンパ節」という組織を取り除いたり、放射線治療によってリンパ液の流れが停滞したりするからだと言われます。リンパ節は脇の下や首の付け根、足のつけ根などにあり、がんや感染が全身に広がることを抑える役割をしています。この機能が損なわれるためにリンパ浮腫を発症してしまうのです。
がん治療の副作用に悩まされる−−。がんを乗り越えたのに社会復帰が難しいと訴える患者さんを一人でも多く救えるよう、国内外の若き外科医から声を集めて、“使いやすい”リンパ浮腫治療器具の開発に挑戦しよう。
こうした思いから、私たちのプロジェクトは立ち上がりました。
東京大学名誉教授 光嶋勲考案の世界細微細の手術ばりを操るピンセットを開発したい
0.3ミリの微細な血管をつなぐ手術でリンパ浮腫を治療
直径0.3ミリの血管や神経、リンパ管をつなぐ超微小外科(スーパーマイクロサージャリー)の第一人者で、東京大学名誉教授の光嶋勲特任教授とものづくり企業が中心となり、国内外で活躍するスーパーマイクロサージャリーの外科医の協力を得ながら取り組みます。
超微小な医療器具が可能にするリンパ浮腫の外科的治療
左に示すのは、足のリンパ浮腫の写真です。左の写真が、弾性のあるストッキングなどで圧迫してもよくならず、24年間、耐えてきた患者さんの両足です。
真ん中が治療中の写真です。4箇所にそれぞれ2〜3センチの大きさで皮膚を切開して、直径0.3ミリほどのリンパ管と0.7ミリほどの細い静脈(細静脈)を探して繋いでいきます。リンパ管と細静脈とがつながると、リンパ液が静脈に流れはじめ、少しずつむくみが改善していきます。
右の写真が手術から9年くらい経った時の状態です。
こうしたリンパ浮腫の治療に欠かせないのが、超微細な針と糸。そして、その針と糸を操る鑷子(せっし)というピンセットです。
微細加工技術は日本が誇るお家芸。とはいえ、実用化までの道のりは容易いものではありません。直径0.3ミリのリンパ管を縫うための針には、その10分の1の細さが求められます。0.03ミリという細さに、血管壁を貫通する究極の刃物としての鋭さと、ぐにゃりと折れたり曲がったりしない強さも備わっていなければなりません。微細な針と一緒に使う縫合糸はさらに細く、リンパ管から細い静脈にリンパ液が流れるよう、しっかりと縫い合わせることができないといけません。
この超微細な針と糸を開発したのは日本のものづくり企業です。直径0.03ミリ、長さ0.8ミリの針と直径0.012ミリの糸という世界最微小を世の中に投入し、かれこれ17年経った今も、他社の追随を許しません。リンパ浮腫を含めて超微小血管をつなぐ手術を日本の技術が支えてきたのです。
こうした手術の現場で、必要とされているのが、世界最微小の直径0.03ミリの針を操るピンセット(鑷子)です。超微小な針と糸で微小血管を縫い合わせるのに扱いやすいピンセットに対する需要が高まっているのです。
現在、使われている鑷子は、直径0.05ミリの針までの細さが対象で、この鑷子を駆使して直径0.03ミリの針を扱うことができるは、腕のいい外科医に限られます。
直径0.03ミリの針が、より微細な手術を可能にすることで、ドクターが治療できなかった領域を開拓してきたように、超微小の針糸を扱いやすくすることで、ドクターが手技を獲得しやすくなり、世界各地でリンパ浮腫に苦しむ患者を減らすことにつなげていきたいと、私たちは考えています。
スーパーマイクロサージャリー分野の外科医を増やし、救える患者を増やしたい
スーパーマイクロサージャリーの手技を学ぶため、国内はじめ、アメリカや台湾、イスラエルなど世界から若きドクターが光嶋先生のもとに修練に訪れます。これまで、海外からの留学研修医師は350人、ライブサージャリーを含めて招待を受けて海外講演を行った数も250回を超えます。また、海外での招待手術は1997年から約32施設20カ国に及びます。
光嶋先生によると、微小外科手術の器具を使いこなして手技を身につけるのは、手先が器用なお箸の文化で育った医者のほうが早い傾向があるそうです。1人でも多くの外科医にとって操作しやすい形状や性能を持たせることは、様々に異なる生活文化で育った医師たちの手技習得のスピードのギャップを埋める役割を果たします。
私たちが解決したい課題は、「難易度の高いスーパーマイクロサージャリーの手技に使う道具の扱いやすさを向上させること」、「その手術ができるドクターを増やすこと」です。そうすることが、「リンパ浮腫に悩んでいる患者さんの苦しみを取り除くこと」につながっていくと信じています。
ご支援の使い道
リンパ浮腫の治療にスーパーマイクロサージャリーは選択肢の一つとして世界で認知が広がりつつあります。その一方で、ドクターの育成、手術に必要な医療器具の整備も求められています。
私たちは、段階的に医療器具の開発をしていく予定です。手術が超微細であることから、まずは、お箸を使う文化圏にいる外科医にとっての使いやすさを追求し、フォークとナイフを使いなれている文化圏へと見地を広げていきたいと考えています。
試作品で1本が約35万円もすることに驚かれるかもしれません。ここには、材料の購入、数週間かけて行う200以上もの加工工程が含まれ、ドクターに試作を使ってもらいながら改良をしていくコストが含まれます。
皆さまからご支援をいただく合計金額に沿って、プロジェクトを進めてまいります。もし、500万円以上のご支援を受けられたら、試作品を使ってもらうドクターの人数を増やすなど、予算に合わせて取り組みの枠を広げたいと思います。
皆さまからのご支援を、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
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